経済学02(Economics02)
科目ナンバー   RMGT/SSCS1138 
科目名   経済学2  
担当教員   清水 千弘    
対象学年   1年,2年,3年,4年   開講学期   前期  
曜日・時限   月1  
講義室   1205   単位区分   選  
授業形態   講義   単位数  
科目大分類 総合教育  
科目中分類 総合  
科目小分類 文化教養  
科目の位置付け(開発能力) ■DPコード-学修のゴールを示すディプロマポリシーとの関連
【危機管理学部】【スポーツ科学部】共通
DP1-D  〔市民的素養・市民的教養〕市民的素養と参加コミュニティに積極的な変化をもたらすために,知識・スキル・価値観・動機を動員することができる。
DP4-I  〔理解力・分析力〕文章表現,数値データを適切に扱いつつ,情報の収集と取捨選択,分析と加工を有効かつ円滑に行い,課題の解決につなげることができる。
DP7-C  〔他者理解・倫理観・公共心〕人間の行動の正誤に関する推論に正面から取り組み,社会的な存在としての自己の行動原理を獲得することができる。

■CRコード-学修を通じて開発するマインドセット・ナレッジ・スキルを示すコモンルーブリック(CR)との関連 
D1:市民的素養と参加(20%)
C1:倫理的思考・社会認識(20%)
I1:理解・分析と読解(20%)
I2:量的分析(20%)
I3:情報分析(20%)  
教員の実務経験   2009年から国連,国際通貨基金(IMF),国際決済銀行(BIS),OECDが共同で進めるマクロ経済指標の整備に関するプロジェクトに参加しています。また,財務省・金融庁・経済産業省・国土交通省の経済研修等の講師を務めています。それらの経験をもとに,経済学の講義を展開します。(第5,6,8,9,12,13,14回)  
成績ターゲット区分 ■成績ターゲット  能力開発の目標ステージとの対応
2  進行期  ~  3  発展期  
科目概要・キーワード 国民所得決定理論などのマクロ経済学の基礎理論を理解し,失業,インフレ,経済不況など現実経済が抱える諸問題に対する経済政策の有効性を学ぶことを目標にします。具体的には,短期の経済変動の理論を中心にマクロ経済学の標準的な体系を理解し,近年の日本経済について,経済学のロジックを踏まえて論じることができ,その政策対応や個別論点の理解が目標となります。授業形態は講義により行い,レポートによって理解度を図ることとします。なお,授業の一部を補完するため,あるいは代替するためにディスタンスラーニングを取り入れる場合があります。
■キーワード:マクロ経済学,経済成長,インフレーション,失業  
授業の趣旨 ■副題
  巨視的経済学の考え方を習得し,社会における経済現象の理解と予測ができる社会人になりましょう。
■授業の目的
  様々な経済現象が起きる現代社会において,国全体の経済の動きを特定の指標によって捉え,景気や経済成長について把握し,その変動の諸要因を理解することは,私たちが社会で生活していくうえで問題の理解や解決のための多くのヒントを与える要素となります。本講義では,巨視的経済学の基礎的な理解を通じて,様々な経済現象の解決方法を学習します。
■授業のポイント
  現代社会で起こる経済現象はより複雑化しています。前半の講義では,非自発的失業,貨幣・資産市場の役割など,マクロ経済学を考える上で特に重要な事項について解説した上で,標準的なマクロ経済理論を解説し,日本経済の現況について考えます。後半の講義では,成長率やインフレ率等がどのように推移するか,動的分析モデルを解説し,マクロ的な安定化政策(財政政策・金融政策等)の是非,消費理論や投資理論について解説します。講義を通じて,文化的素養,市民的教養として経済社会の構造を理解するとともに,経済情報の理解・分析を通じて,市民参加への応用を図ります。  
総合到達目標 ■日本及び国際的な経済活動の構造を理解できるようになるために,以下のことを学習し,修得する。
・国民経済計算やインフレーション,失業,経済成長などの学びを通じ,専門誌を読み解くことができる。(第1回~13回)
・基礎的な経済知識の習得を通じて文化的素養,市民的教養として経済社会の構造を理解できる。(第1回~15回)
・競技スポーツ産業,危機管理分野に関連した社会現象を分析できる。(第14回・15回)  
成績評価方法 ■リアクションペーパー(30%):適用ルーブリック  D1・C1
(評価の観点)講義への参加意識の濃度をリアクションペーパーよって評価します。
(フィードバックの方法)次の講義にて,補足的な解説をします。
■学期期間中におけるレポート(70%):適用ルーブリック  I1・I2・I3
(評価の観点)各単元において最も重要な点について問い(計10回),理解度を評価します。
(フィードバックの方法)レポート配布の次の講義にて,ポイントを解説します。  
履修条件 特にありません。  
履修上の注意点   マクロ経済学は経済社会で生活する私たちにとって極めて重要なものです。受講に先立ち,国全体の経済の動きはどのような指標によって捉えられるのか,国内では景気の良し悪しについてなぜ見方が分かれるのか,考えてみましょう。  
授業内容
内容
1 ①授業のテーマ
 ガイダンス(全体テーマ,授業の進め方,成績評価方法の告知),導入,単元の概要紹介
②授業概要
 授業の概要・目的・到達目標および授業の方法,評価規準について説明します。とりわけ,スポーツ科学部・危機管理学部の専門領域おける経済学の位置づけを担当教員の実務経験を交えながら解説します(D1・C1)。
③予習(120分)
 指定された教科書の全体像をつかむ。
④復習(120分)
 経済学を学習することの意義を整理する。
2 ①授業のテーマ
 経済学的思考
②授業概要
 機会費用,絶対優位または比較優位,インフレーションや失業対策といった経済政策の目標など,多くの基礎的な概念と原理を解説します(I1)。
③予習(120分)
 経済学とはどのような学問かを整理する。
④復習(120分)
 経済学の10大原理について整理する。
3 ①授業のテーマ
 交易の利益
②授業概要
 経済活動はなぜグローバル化が必要なのかを解説します。国と国とが交易(貿易)することの利点を学び(I1),現在の米国の閉鎖的な経済政策の転換によって生ずる問題,日本が全世界に向けて開放的な経済政策を展開する意味を理解することができる(I3)。
③予習(120分)
 比較優位・絶対優位とは何かを整理する。
④復習(120分)
 数値例を持って比較優位性を考え,理解する。
4 ①授業のテーマ
 市場における需要と供給
②授業概要
 経済学の最も基礎的な概念となる市場の機能を需要と供給の基礎的概念とともに学ぶ(I1)。特に競争市場,寡占,独占の問題を解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 競争市場の必要条件について整理する。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて寡占市場・独占市場において生ずる問題を考え,整理する。
5 ①授業のテーマ
マクロ経済と国内総生産(GDP)
②授業概要
経済活動の結果を示す統計として「国民経済計算」があるが,そこでは国内総生産をはじめとする様々な統計が作成されている。担当者の実務経験を踏まえて,それらの統計がどのような基準で作成されているかを解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
「国内総生産(GDP)」とは何かを整理する。
④復習(120分)
レポート作成を通じて「国内総生産(GDP)」と「国民総生産(GNP)」の違いを整理する。
6 ①授業のテーマ
 経済成長
②授業概要
 近年,多くのアジア諸国の台頭と比較して,日本の経済成長率は鈍化してきていると言われる。担当者の実務経験を踏まえて,経済成長または生産性とはどのように決まるのか解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 日本と中国の経済成長率を比較する。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて生産性の決定構造について整理する。
7 ①授業のテーマ
 金融制度体系
②授業概要
 日常生活においてお金を使って物やサービスを購入する行為は,金融制度が整備されて初めて機能する。そこで金融制度とはどのようなものであるか,中央銀行はどのような機能を果たしているのか,金融政策とはどのような政策であるのかを解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 金融市場とは何かを整理する。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて金融政策の手段を整理し,その効果を考える。
8 ①授業のテーマ
 失業率
②授業概要
 欧州諸国では若年者の失業率の上昇が大きな社会問題となっている。担当者の実務経験を踏まえて,失業はどのようなメカニズムで発生するのかを解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 日本と欧州諸国の失業率について調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて失業が発生するメカニズムを整理し,問題解決策を考える。
9 ①授業のテーマ
 インフレーション
②授業概要
 日本ではデフレーションの脱却に向けた様々な経済政策が採られている。担当者の実務経験を踏まえて,「デフレーション」「インフレーション」という現象とそこに生ずる問題とは何かを解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 「デフレーション」「インフレーション」という現象について調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じてインフレーションの種類とマクロ経済政策との関係を整理する。
10 ①授業のテーマ
 経済のグローバル化
②授業概要
 経済のグローバル化は年々進んでいるが,その背景となる為替の決定メカニズム,購買力平価の概念について解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 購買力平価とは何かを調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて為替の決定メカニズムについて整理し,為替変動に伴い生ずる経済現象を考える。
11 ①授業のテーマ
 市場の均衡(マクロ経済の総需要と総供給)
②授業概要
 一国全体で見た総需要と総供給はどのように決定されるのか,その均衡とは何を意味しているのかを解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 景気後退や不況とは具体的にどのような現象を指すのか調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じてマクロ経済の均衡とは何かを整理し,それがどのような意味を持つのか考える。
12 ①授業のテーマ
 財政政策・金融政策の有効性
②授業概要
 インフレーションや失業といった国全体の問題を解決するために,政府は財政政策によって,中央銀行は金融政策によって対応する。担当者の実務経験を踏まえて,それらの政策が奏功するメカニズムを解説します(I1・I2)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 政府の役割について調べる。
④復習(120分)
 レポート作成を通じて財政政策が機能しない場合の原因について整理し,その対応策を考える。
13 ①授業のテーマ
 インフレーションと失業率との関係
②授業概要
 マクロ経済政策においてインフレーションの抑制と失業率の低下は大きな政策目標の一つである。担当者の実務経験を踏まえて,それらの二つの目標がどのような関係にあるのかを解説します(I1・I3)。なお,講義の後半では,レポート課題を出し,その作成に一部の時間を充てる。
③予習(120分)
 失業率はどのように決まってくるかを過去の講義をもとに整理する。
④復習(120分)
 レポート作成を通じてフィリップス・カーブについて整理し,日本のデータから失業問題の解決策を考える。
14 ①授業のテーマ
 マクロ経済政策の限界と課題
②授業概要
 マクロ経済政策の有効性を巡っては,様々な意見があります。財政赤字は許してもいいのか,そもそも政策立案者は経済を安定させようと行動すべきか,金融政策はどのような基準で運営したらいいのか等,担当者の実務経験を踏まえて,それぞれの政策上の論争について解説します(I1・I2)。
③予習(120分)
 日本の財政赤字の規模を調べる。
④復習(120分)
 マクロ経済政策の必要性について自分の意見をまとめる。
15 ①授業のテーマ
 経済学2のまとめ
②授業概要
 これまでの授業での学びを振り返り,巨視的経済学の重要性,応用可能性を各個人で考える(D1・C1)。
③予習(120分)
 授業のノートの全体を振り返る。
④復習(120分)
 マクロ経済学は専門科目を学ぶ上でどのように活用できるかを整理する。
関連科目 RMGT/SSCS1137「経済学1」は微視的視点での経済学の基礎知識として補完的な関係にあります。  
教科書 足立英之ほか訳『マンキュー経済学Ⅱ(マクロ編)』東洋経済新報社  
参考書・参考URL 飯田泰之・中里  透『コンパクト  マクロ経済学  第2版』新世社  
連絡先・オフィスアワー ■連絡先:開催時に告知します。
■オフィスアワー:月曜日2限。それ以外については,メール等でアポイントメントを取ることにより,研究室等で対応します。  
研究比率